「共謀罪」について 学習会  2月18日開催 主催:むさし9条の会

   
講師 福永紗織法律事務所 福永紗織先生 
~そもそも共謀罪とは何か~ 基本的人権」は守られるのか?

 
むさし9条の会では、2月18日(土)北区武蔵ヶ丘の沖畑公民館で「共謀罪」についての学習会を実施しました。


 法律用語は難解なため、共謀罪はどういう法律なのか、共謀罪のどこに問題があるのか、強行したい行政の狙いは何か等々、それぞれに勉強はして、分かった心算にはなっていても、いざ説明するとなると中 々うまくいかず、必要に迫られて実施しました。 
 講師の福永弁護士は以下のように、共謀罪とは何かに始まり、テロ等組織犯罪準備罪ではない国際社会の要請、共謀罪を廃案にすべき理由、最後に共謀罪成立を許した時の基本的人権の侵害について話されました。
テキスト ボックス: 1.	共謀罪とは何か
2.	国際組織犯罪防止条約について
3.	現行の法制度で批准は可能
4.	条約審議における日本政府の対応
5.	これまで過去の「法案」提出時の推移
6.	共謀罪を廃案にすべき理由
7.	刑事法体系の基本原則に矛盾する
8.	基本的人権の侵害について

 


 共謀罪とは、何らかの犯罪の共謀それ自体を構成要件とする犯罪の総称です。
犯罪そのものは罪刑法定主義が原則とされており、刑法など法典に規定がない行為については犯罪とされません。
 窃盗罪の実行行為を例に、手順でどこからが犯罪となるのか、具体例を列挙しながら説明されました。
 犯罪が実行された場合にのみ刑法の適用となるのですが、頭の中で考えている段には縛る法は在りま せん。
「大津九条の会」や「合志九条の会」からも参加され30名足らずの少数では有りましたが、90分間の講義を熱心に聞き入り、質疑も活発に、終わった時には確信に満ち、それぞれに力を得て散会しました。
 またこの中で先生はパワーポイントを準備され、項目ごとに分かりやすく、刑法の基本原理から話され、何度も提案して廃案になってきた「共謀罪」を「テロ等組織犯罪準備罪」と名称変更していますが、目的はテロではなく、思想取り締まりの危険性に変わりはありません。名前の通り準備から罪になるのです。
政府の『組織的な犯罪集団が対象で、市民や労働者は対象ではない』との説明はまやかしで、罪の内容も、犯罪者集団も明確に定義されず、警察が拡大解釈すればどうにでもなる、また反対が強いなか、法案は小さく作っても後で、拡大すればよいとの配慮が働いている。

 安倍首相は、法を整備しないと『東京五輪・パラリンピックを開けない』と言っているが、押し通すための方便で、条約の批准に不可欠ではないこと、条約の批准には権限のある国家機関が、その条約に拘束されることへの同意を表示し、国家の一方的意思表示でよいとの事。従って共謀罪を制定しなくとも、条約の一部について留保し、解釈宣言をするなどして条約批准が可能であることが話されました。

 特にこの法案で怖いと感じたのは、「犯罪の実行の直前に自首したものは、その刑を軽減し、または免除する」というものです。戦前の労働争議などでよく見られた、煽り・扇動・スパイなどの躍動に道を開くものではないか。
 この法案は個人の「内心の自由」を侵害し、監視社会を強め、民主主義の破壊を加速するものと思われます。殊に、人の心を縛る刑罰で、「行為」だけではなく「意思」や「思想」を処罰する法律であること。
『プライバシー権の侵害や「表現の自由・集会・結社の自由」を萎縮させる、かつ「思想・信条の自由の侵害」の危険性が有ります』と結ばれ、反対することの必要性を訴えられました。多くの皆さんの学習に推薦したいと思います。
                                   むさし9条の会   原 勢津郎